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生命保険の原価率…払った掛け金と死亡保険金との関係

生命保険の原価はどのくらい



最近は同じ生命保険でも保険料に随分差がでています。そこで生命保険の原価を調べました。

30歳契約期間10年で死亡保険金1000万円の定期保険です。定期保険とは満期保険金がない掛け捨ての生命保険です。

保険業界の「生保標準生命表1996」を入手しました。これは生保22社による約40万人の死亡件数の実績を集計したものです。

この生命表では男女別に何歳の人は何人死ぬかという統計をまとめています。そしてこれら統計をもとにして保険会社は保険料を決定します。

35歳男では、生存数97,715・死亡数103とあります。生まれた数つまり0歳生存数を100,000人として、35歳まで生き残る人数は97,715人であり、35歳での1年間でそのうち103人が死んでいくという実績を意味します。

なんで35歳のデータなのかというと30歳契約で10年間の定期保険ですから10年間のちょうど中間の35歳を見たかったのです。

保険会社が死亡者数103人の遺族に払う「死亡保険金」全額を、契約者数97,715人が保険会社に払う「掛け金」でまかない、収支が相当するとします。つまり死亡保険金を支払うにはいくらの掛け金が必要なのかを、生命保険の原価としましょう。

103人に1000万円づつの保険金を払うと10億3000万円。それを97,715人でまかなうと一人1万540円。これは1年間の掛け金ですから12で割って1ケ月あたりの掛け金に直すと878円です。

厳密には30歳の死亡率と39歳の死亡率は違います。また今すぐ支払う1000万円と10年後に支払う1000万円は利子を考慮すれば価値が違います。だから一定の割引(予定利率)をして計算します。また死んだ後の掛け金は支払われませんからけっこう複雑な計算が必要です。

毎年の年初に全掛け金支払い・年末に全保険金支払い・利率2%としてこの複雑計算をしてたら掛け金年額10313円、1ケ月あたり859円となりました。

30歳男期間10年で死亡保障1000万円の定期保険の原価は月額掛け金859円なのです。

同様に計算して40歳1962円、50歳4997円となりました。


実際の保険料はいくら



保険料が極めて安いと評判のオリックス生命のインターネット通販での30歳男10年1000万円定期保険の月額掛け金1900円。40歳3120円、50歳6450円です。

それぞれ原価率は45%、63%、77%となりました。何歳であっても集金等かかる事務経費は変らないのでこうなるのでしょう

なお通常の生保の掛け金はこのネット通販商品よりもかなり高く2-3割高いこともあります。

年齢30歳での原価率は通販商品でなければ4割未満でしょうか。30歳だけでなく全世代をならしても掛け金の半分程は保険会社の経費に消えそうです。

なお養老保険や終身保険のように積立部分が大きいものは、積立部分も原価になりますので原価率は9割にもなるようです。しかし積立部分は貯蓄ですから「死亡保障」としての生命保険の原価とは違います。銀行預金でそんなこと考えますか。


「収支相当の法則」て本当?



「生命保険は『収支相当の法則』による世の中の助け合い制度」と説明されます。でも半分が保険会社の経費というのならその説明はおかしいでしょう。

屋台のラーメンの原価率は2-3割でしょう。それでも美味なら皆納得します。保険というシステムのために経費がかかるのはやむを得ないとの割り切りが必要であり、必要な保険システムや満足できるコンサルティングのために経費は必要です。

重要なのは「生命保険の原価」はその程度と理解した上で生命保険をうまく使うことです。

「安ければそれでいい」だと失敗します。生命保険はコンサルティングが必要な商品です。

人件費が必要なコンサル販売がされる複雑な商品は、通販専用のコンサルなし超単純商品より掛け金が高くなって当然です。


医療保険ガン保険の原価率



平成18年度から各保険会社が一定の数値公表をはじめました。医療保険等で、一年間に保険会社が受け取った掛け金のうちで、契約者に保険金や給付金として支払った金額の割合をパーセントで公表するようになりました。

 医療保険ガン保険
日本生命36.0 34.5
第一生命31.8 40.4
明治安田生命38.3 36.4
住友生命32.9 37.7
アフラック22.9 52.7
アリコジャパン20.7 49.9


日本生命なら1年間に医療保険の掛け金を契約者から100受け取って、うち36を入院や手術の保険金等として支払いました(支払いは保険金等支払いのための社内経費を含んだ金額)。

この36%が日本生命の医療保険の原価ともいえます。ただし日本生命の医療保険すべてが1年ごと終了の掛け捨て医療保険ならば確かにそのまま原価ですが、実際はそんな単純なものではなく複雑なものばかりです。

終身保障の医療保険だとずっと後になりドンと保険金支払いがでますが最初ではわずかです。

アヒルのCMで有名なアフラックの医療保険は多くが終身保障で、ここ数年に販売急増したものです。そのために現在は掛け金をたくさん受取れますが保険金の支払いはわずかなはず。だから数字が低いのでしょう。

一方でこのアフラックはずっと昔にガン保険を大量販売してきました。契約時は健康体でガンでないはずですが、20年30年と年数が経過するとガン保険金の支払いは確実に増加します。

だから現在でのアフラックのガン保険の数値は他社に比べ高いのかもしれません。また満期金がある商品なら貯蓄部分がグンと大きくなるので原価率もグンと高くなります。

ザックリ見て医療保険の原価率は30%台、ガン保険では40%台といったところでしょうか。


死亡保障と医療保障の違い



何千万円の高額死亡保障は子育て家庭に必須です。ただ何千万円の預金があれば不要なのですが、一般家庭にそれはありません。掛け金が高くとも生命保険で担保せざるをえません。

医療保険は違います。最近流行の商品は入院限度60日医療保険。入院日額1万円なら最大60万円、手術給付を加えても最大100万円ほど。簡単な入院なら10-30万円ぐらい。100万円の予備預金があればこの医療保険は不要です(逆になければ必要?)。

予備の預金があれば原価率3割とか4割の商品(つまり過半が保険会社の経費に消える商品)より貯蓄がいいかもしれません。

医療保険が本当に必要なのは超長期の入院時のはずです。

「入院のほとんどが60日以内で済む」として、掛け金が安いかわりに最大60日しか入院給付金がない医療保険が増えました。

当サイトの管理人には骨折で60日入院のつらい体験があります。病院にはもっと長い人がゴロゴロいました。

生活が資金的に極めて苦しくなるのは、例外的な60日超の超長期入院のはずです。そもそも保険は「まさか」のためのものではなかったでしょうか。

管理人なら入院1日目からの保障なんて不要。入院60日までも保障なし(そのかわり掛け金は激安)で61日目から無制限に保障される商品なんていいですね。

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